2004年03月の日記

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2004.03.19  私が予防に目覚めた理由 其の三

今まで「虫歯」との直接対決は無かったのです。 僕が見ていた、そして目の敵にしていた「虫歯の穴」は実は「虫歯」ではなかったのです。
 と言うと「気が狂った!」と思われるかも知れませんが、「虫歯の穴」は「できてしまった虫歯の穴」であって、結果でしかないと言う事です。
「できてしまった虫歯の穴」を削って詰めたり被せたりしてもそれは単なる「後始末」でしかないのです。 虫歯の穴を治す事は対症療法であり、まだ原因はそのままなのです。
ですから「虫歯との本当の直接対決」は虫歯の穴が出来ないようにする事、つまり「虫歯予防」だったのです。 「虫歯は元からたたなきゃダメ」と言う事です。
それに気がついた時、今までのモヤモヤが解消された気がしました。
 今まで僕のしてきたことは全身疾患に例えれば、「発病してから来院してもらって壊死した手足を切除して(虫歯を抜いて)義手義足(入れ歯)を装着させていたようなもの」と言えるでしょう。
機能回復の為すぐれた義手義足は重要ですが、その前に発病予防の視点が僕には欠落していたのです。 

蛇足ですが・・・
熱く「予防歯科こそ本道!」みたいに語ってしまいましたが、「できてしまった虫歯の穴を治療する事」は機能や審美的回復にとって絶対必要な事です。「治療」と「予防(健康づくり)」はよく言われるように両輪です。ただ重要な事は「目の前の虫歯の穴のみに目を奪われてはいけない」という事です。「虫歯の穴」はただの結果であり、重要なのはそこに至った経過自体です。予防歯科は虫歯を現象の経過として捉え、その経過自体に介入する事が重要だと学びました。




2004.03.06  私が予防に目覚めた理由 其の二

Fさんの件から2年ほどたったある日のセミナーでフリーランスの歯科衛生士Yさんとお話をする機会がありました。
「予防歯科は患者さんに喜ばれるので楽しいですよ、治療じゃないので皆さん楽しみにして来られますから」そのときのYさんの言葉が鮮烈に心に響きました。 すでにYさんはいくつかの予防歯科の立ち上げに関わっていました。

「予防歯科という方向があったか!」
いままで予防処置をしてなかったわけではありません。歯ブラシ指導、フッ素塗布、シーラント等、希望される患者さんには行なっていました。
でも医院自体の性格は、虫歯が出来てからの「治療中心の歯科医院」でした。そこで「好かれる歯科医=予防歯科」にシフトすべく勉強をはじめました。そうしたら気が付きました。
より良い入れ歯、より良いブリッジ、より良いクラウン、より良いインプラント、より良い詰め物、より良い神経の治療・・・。これらが患者さんを虫歯から救う道と確信して、関係書籍を読み、セミナーや講演会に出席し、長い間勉強を重ねてきました。
憎っくき虫歯の穴や歯の抜けた空間をお口の中から抹殺するべく、クラウン、ブリッジ、入れ歯で埋めて出来上がった鉄壁のお口の中、それが仕事上の満足でした。
しかしそれら努力と時間の結晶はFさんのケースの様にアッと言う間に崩壊してしまいした。

今まで歯科医師として虫歯と真っ向から戦ってきたつもりでした。
でもそれは錯覚だった事に気が付きました。